小型FMワイヤレスマイク...page.1/4


はじめに...

FMワイヤレスマイクは意外に人気があるようです。
当ホームページで既に紹介していますが、小型化を狙って2作目も作りましょう。

電源電圧は1.5ボルトでできるだけ電波の飛距離が延びるように実験・試作し紹介することにします。
また、できるだけ回路も簡単にして成功率の向上を図りました。

小さく作りますので簡易的な盗聴器(隠しマイク)としても使えます。



概要

既に紹介したFMワイヤレスマイクの回路とは違って、バリキャップダイオードを使った本格的なFM変調(周波数変調)としています。
バリキャップダイオードとはバイアス電圧(逆方向に加電)によって静電容量(コンデンサの値)が変化する部品です。
発振回路にはFET(電界効果トランジスタ)によるハートレー発振方式として回路の簡略を図りました。更にコイルには既製品のコイルを用いて、再現性の向上を図りました。
発射する電波の周波数はFMラジオ放送帯をほぼカバーしており、調整も容易です。この発射周波数はコイルのコアにより行ないます。



ブロック図





回路図

トランジスタ(FET含む)を3個使っているので難しく思えるかも知れませんがブロック図毎に見れば単純な回路です。
実際に部品を集めてみると部品の数は少ないので失敗することは恐れずに挑戦してみて下さい。






R1 = 1KΩ C1 = 0.1μF L1 = FCZ 7S144 Tr1 = 2SC2458Y
R2 = 100KΩ C2 = 0.1μF L2 = 10μH Tr2 = 2SK192A-Y
R3 = 2.2KΩ C3 = 15pF L3 = 10μH Tr3 = 2SC1906
R4 = 10Ω C4 = 10pF D1 = 1SV101
R5 = 100KΩ C5 = 47pF BATT = 1.5V
R6 = 10KΩ C6 = 0.1μF
C7 = 0.1μF



回路の説明

マイクにはECM(エレクトレットコンデンサマイク:単に「コンデンサマイク」と呼ばれる)を使います。
市販のダイナミックマイクを使う場合は回路図の抵抗:R1を外して下さい。
この抵抗:R1はECMに対してのみ必要な抵抗で、ECMに内蔵しているFET(電界効果トランジスタ)を動作させるために直流を加電させています。


ECMから出力される音声信号をそのまま変調部に送り込んでも期待できる変調となりませんから(ラジオで聞くと音が小さい)、専用にマイクアンプを設けます。
マイクアンプはTr1:2SC2458の自己バイアス回路で構成します。自己バイアス回路はトランジスタのhパラメータであるhfe(電流増幅率)のバラツキをある程度無視できる特徴があります。エミッタ側にも抵抗:R4が接続されていますが、このエミッタ抵抗でマイク感度が調整できます。
マイク感度をあまり必要としない場合は、当エミッタ抵抗の値を上げて下さい。半固定抵抗(〜100Ω)として調整できるようにするといいでしょう。


変調回路にはバリキャップダイオード:D1:1SV101を使いました。
バリキャップダイオードとは可変容量ダイオードのことで、バリオードとも呼ばれます。

バリキャップダイオードは逆方向に電圧を掛けてPN接合間に出来る空乏層間の静電容量(コンデンサの値)が、逆方向電圧の加減で変化することを利用した半導体部品です。

回路図でマイクアンプの出力はコンデンサ:C2と抵抗:R5を通してバリキャップダイオード:D1:1SV101に掛かっています。
すなわち音声信号の電圧変化は、音声信号に合わせた静電容量の変化に変換されることになります。

バリキャップダイオード:D1:1SV101は次の発振回路の周波数を決定するLC回路(L1とC4の回路)に入っています。
すなわち音声信号に合わせた静電容量の変化は、音声信号に合わせた発振周波数の変化になります。(FM変調:周波数変調される)

ここで回路に馴れている方はバリキャップダイオード:D1:1SV101にバイアス電圧が掛かっていないことに気付くでしょう。
通常は安定化された電圧源を元に、バリキャップダイオードのリニアな特性を持つ部分を狙ってバイアス電圧を掛けて使います。
回路図のようにバイアスを掛けなかった理由は実験による結果であり、意外に良好な変調が掛けられたからです。


発振回路はTr2:2SK192Aで構成されるハートレー発振です。多く紹介されているクラップ発振(コルピッツ発振回路の変形)よりも簡単で作りやすいのではないかと思います。
ハートレー回路、コルピッツ回路の原理については書籍で勉強して下さい。


電波を安定して発射するために間にTr3:2SC1906で構成されるバッファアンプを介します。このバッファアンプを介すことで高周波信号は約10dB持ち上げられます。更に安定した電波出力となります。
尚、Tr3にはできるだけftが高い2SC1906を用いることを奨めます。ここに2SC2458(又は2SC1815)を用いると出力が若干低下(3dB程度)します。


電源は単5電池1本の1.5Vで稼動させます。


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