FMステレオトランスミッタ...page.2/6


パーツリスト

品名 規格 個数 備考 予算 参考
3端子レギュレーターIC TA48M05F 1 \100
マイクロコントローラー PIC12F629 1 DIPタイプ \100
デジタルIC 74HC4066 1 DIPタイプ \50
オペアンプ LM358N 1 DIPタイプ \50
電界効果トランジスタ(FET) 2SK241GR 2 Yランクでも可。 @\50
バリキャップダイオード 1SV101 1 \50
発光ダイオード(LED) 好きな発光色 1 ケースに取り付けしやすいものがよい \150
3端子セラミック発振子(セラロック) 10MHz 1 「セラロック」は村田製作所の登録商標 \50
1/6W(1/8W)炭素皮膜抵抗 47Ω 1 黄紫黒金 \10
1KΩ 4 茶黒赤金 @\10
4.7KΩ 1 黄紫赤金 \10
10KΩ 7 茶黒橙金 @\10
22KΩ 2 赤赤橙金 @\10
100KΩ  3 茶黒黄金 @\10
セラミックコンデンサ(耐圧50V) 10pF 1 10と表示 \20
15pF 1 15と表示 \20
1000pF 3 102と表示 @\30
積層セラミックコンデンサ(耐圧50V) 0.1μF 6 104と表示 @\30
1μF 2 105と表示 @\80
電解コンデンサ(耐圧50V) 1μF 1 \30
10μF 2 @\30
FCZコイル 7S144 1 \180
フェライトビーズ FB101 2 @\50
UEW(ポリウレタン鋼線) 0.32mmφ 少々 -
電池 006P型9V電池 1 アルカリ乾電池がお勧め -
電池スナップ 1 \30
その他(ねじ・配線材料) 適量 -
ユニバーサル基板 ICB-288G 1 サンハヤト \150
ステレオピンジャック 3.5mm用 1 ケースに取り付けできるもの \100
丸ピンICソケット DIP:8ピン 2 @\50
DIP:14ピン 1 \80
2連ボリューム 2連10KΩAカーブ 1 音声入力レベル調整で使用 \300
単連ボリューム 単連10KΩBカーブ 1 周波数調整で使用 \500
スイッチ 1 電源のON/OFFで使用 \300
ボリュームつまみ 2 ボリュームのシャフトに合うもの @\250
ケース 1 貴方が選んで下さい。 -



部品の概要

3端子レギュレーターIC:TA48M05F
 
東芝の3端子レギュレーターICで、ロードロップアウトタイプのものです。
ロードロップアウトタイプの3端子レギュレーターICとは、入出力間の電圧が特に小さいものを指します。
TA48M00Fシリーズの入出力間の電圧は250mA時で標準0.17Vになっています。
すなわち、5V用のTA48M05Fでは5.17V以上の電圧を加えれば安定した5Vが得られるということです。

多く知られる78M00シリーズの入出力間の電圧はメーカーによって違いはありますがおおよそ1.7Vです。
このため5V用の78M05で安定した5Vを得るには6.7V以上の電圧を加える必要があります。

今回の回路は電池による稼動としますので、電池の消耗で電圧低下による稼動時間を考えればロードロップアウトタイプの3端子レギュレーターICを選択したいところです。

取り付け時は向きに注意しましょう。




マイクロコントローラー:PIC12F629-I/P
 
マイクロチップテクノロジー社のマイクロコントローラーです。電子工作でも人気のデバイスです。
今回は「青い電子サイコロ」にも使った、PIC12F629-I/Pを使いました。
面実装パッケージではなく、写真に写るようなDIPタイプを選択して下さい。

マイクロコントローラーなのでプログラムなしでは動作しませんので、事前にプログラムを書き込んでおいて下さい。
プログラムは10MHzクロックをループによって、交番した38KHzと19KHzを出力するだけの簡単なものです。

取り付け方向に注意しましょう。




ハイスピードC-MOSデジタルIC:74HC4066
 
74HC4066はデジタル信号でアナログ信号のON/OFFを行なうものです。
1つのパッケージに4回路分が封入されています。今回は2回路だけ使います。

74HC4066は5Vの電源で稼動させた場合、30MHzもの速さでON/OFF制御できます。

ところで、今回の回路では38KHzの速さでON/OFFできればよいので、ハイスピードC-MOSに拘る必要はありません。
低速(6MHz〜10MHz)の4066や4016でも問題なく動作し、ICの内部配線は共通なので、そのまま差し替えできます。

なぜ高速な74HC4066を選択したのかというと、4066や4016よりも74HC4066の方が入手しやすく、価格もほぼ同じだからです。

74HCシリーズや4000シリーズの汎用デジタルICは多くのメーカーで製造されています。メーカーによりデーターに若干の違いがあっても普段は気にしないで結構です。
セラミックDIPの54HC4066も使えます。

面実装パッケージではなく、写真に写るようなDIPタイプを選択して下さい。

取り付け方向に注意しましょう。




オペアンプ:LM358N
 
単一電源2回路入りオペアンプとして知られるLM358です。電源電圧3Vから使えます。
セカンドソースとして多くのメーカーで製造されています。
面実装パッケージではなく、写真に写るようなDIPタイプを選択して下さい。

LM358N以外の通常のオペアンプの場合だと電源電圧5Vでは満足な動作ができなく、歪みが発生する恐れがあるので注意して下さい。
NE5532は歪みが発生したことを報告しておきます。

取り付け方向に注意しましょう。




電界効果トランジスタ(FET):2SK241GR
 
FETの端子はトランジスタ(B:ベース、C:コレクタ、E:エミッタ)と同じように、G:ゲート、D:ドレイン、S:ソースと名付けられています。
トランジスタでは、ベース(土台)、コレクタ(収集)、エミッタ(放出)で、FETでは、ゲート(門)、ドレイン(排出)、ソース(源)になっていてとても似ていることが判ります。
回路図の記号では特に接合型FETではドレインとソースの端子の見分けがつきにくいです。これはFETの構造がそうなっているからで、ドレインとソースを逆にしても使える接合型FETが多数存在します。
ただしMOS型FETではドレインとソースを逆にすると直ちに昇天してしまう場合があるので間違えないようにします。



FETについて私なりに少しだけ記述してみます。読まなくてもいいです。

FETには以下の3つの動作があります。(回路例、特性例は全てNチャネルFET)

・デプレッションモード
・エンハンスメントモード
・デプレッション+エンハンスメントモード

デプレッションモードの静特性の例は下図の通りです。

 

デプレッションモードは接合型FETで多く見られる動作です。
上図を見るとゲート-ソース間電圧:Vgsが0Vの時にドレイン電流が最大となりIdssの値となります。IdssとはVgsが0vの時(零バイアス)に流れるIdのことです。
この様子は下図の通りで、この回路がIdが最大のIdssとなります。



下図の様にソース抵抗:Rsを増加すると-Vgsが大きくなりIdが減少していきます。
これは自ら流す電流でRsの電圧降下により-Vgsを生成させています。
そしてIdが殆ど流れなくなる-Vgsをピンチオフ電圧:Vpと呼びます。尚、Vpの実際の測定はVgsの電源を別に用意して測定されます。
尚、グラフを見て判るようにVgsが一定ならばVdsのある範囲ではIdは一定で定電流動作となっていますので、下図の回路は簡単な定電流回路に利用されます。



下図は使い方の例(前置増幅回路)です。
自ら流す電流でRsの電圧降下によりバイアス(-Vgs)を生成しています。
FETのゲートに電流は流れ込まないのでRsによるバイアス電圧はRgの値に無関係であることは判るでしょう。電流が流れなければ電圧降下は0Vだからです。
これによってRgはメガΩ単位の抵抗が使えるので高抵抗入力の回路を実現できます。




エンハンスメントモードの静特性の例は下図の通りです。

 

エンハンスメントモードはMOS型FETで多く見られる動作です。
上図のように+Vgsを加えるとIdが流れはじめます。この特性はトランジスタのVbe-Ic動作ととても似ています。
このため接続方法もトランジスタと似てきます。ただし、トランジスタのようにゲート電流は殆ど無視できるのでドライバー回路がなくてもFETひとつで大きな負荷を制御できます。
しかし高速動作ではゲート端子の静電容量が無視できない場合があり、低インピーダンスで駆動しなければならない場合があります。
下図は例です。Rgはゲート端子が電気的に浮いてVgsが不確定にならないようにするための抵抗で必須です。
また、何ボルトのVgsを与えれば充分なIdが取り出せて使用に耐えるかはFETのデータシートで「Vgs=何V駆動」とトップに掲げているでしょう。
実際の回路例としてデジタルアラームクロックのページを参照して下さい。




デプレッション+エンハンスメントモードの静特性の例は下図の通りです。

 

デプレッションモードのFETでは零バイアスでIdss止まりのIdでしたが、デプレッション+エンハンスメントモードのFETはVgsをプラス側にバイアスさせるとIdssを超えてIdが増加し続けるFETです。
すなわち零バイアスを中心にしてIdを増減させることができます。
下図は使用例です。デプレッション+エンハンスメントモードのFETは高周波回路で活躍します。





FETは以上3つの動作モードの他、Nチャネル・Pチャネルや、デュアルゲートFETがあり、トランジスタより敬遠されがちですが、回路目的がしっかりしていればきっと素敵なFETに出会えます。

尚、ある型番のFETがどの動作モードなのかはデータシートの静特性のグラフで確認しなければ判らない場合が殆どです。

今回用いる2SK241の静特性は下図の通りで、デプレッション+エンハンスメントモードのFETであることが判ります。



・・・・・・・

2SK241はIdssのランクにより、Oランク(1.5mA〜3.5mA)、Yランク(3mA〜7mA)、GRランク(6mA〜14mA)があります。
既に製造されていない様子ですが入手性に優れていて、主にYランクとGRランクが出回っています。
どちらのランクを使っても動作確認をしています(Oランクは未確認)。

取り付け方向に注意しましょう。間違えると通電した瞬間に昇天します。




バリキャップダイオード:1SV101
 
ダイオードへ逆方向に加える電圧の変化でPN接合間の静電容量が変化することを積極的に利用したダイオードです。
1SV101は3V〜9Vの逆バイアスで30pF〜13pFの範囲を可変できます。

1SV101に限らず多くのバリキャップダイオードは加える電圧を高くすると空乏層が広がり静電容量は小さくなります。

電子同調回路やVCO回路で活躍しています。

取り付け方向に注意しましょう。




発光ダイオード(LED)
パイロットランプとして使います。
私はケースに取り付けしやすいブラケット入りの赤色LEDを使いました。

発光ダイオードは取り付け方向があり、逆に接続すると発光しません。
また、青色LEDや高輝度の緑色LEDでは逆に接続すると発光しないばかりか瞬時に昇天してしまう場合があるので注意して下さい。

取り付け方向に注意しましょう。




3端子セラミック発振子(セラロック):10MHz
「セラロック」は村田製作所の登録商標になっています。セラミック発振子よりセラロックと呼ぶほうが普通かと思います。
今回はマイクロコントローラーの発振源として用います。

3端子あり、真ん中の端子は容量負荷で通常はGNDレベルに接続します。

左右の端子に極性はないので方向を換えても大丈夫です。




1/6W(1/8W)炭素皮膜抵抗
小型な1/6W品または1/8W品及び小型1/4W品のカラー抵抗を使って下さい。
標準的な1/4W品では大きくて製作しにくくなります。

抵抗値はカラーの帯で示しています。カラーについては「パーツリスト」を参照して下さい。

取り付け方向はありません。




セラミックコンデンサ(耐圧50V)
高周波回路で活躍するコンデンサです。
リード線タイプのものでは、100pF未満の静電容量は数値が直接表示しています。
15pF(ピコファラッド)は「15」と記してあります。

100pF以上の静電容量のものは指数を含めて3桁の数字で表しています。
「104」と記されていれば、10×104で単位は「pF」のことで100000pFとなり、接頭語をμにすると、0.1μF(マイクロファラッド)となります。
1000pFは102と表示されています。

今回は耐圧50Vのものを使います。
外装の色は茶色のものが多く出回っていますが、メーカーによって緑色や黄色のものもあります。また、温度補償型といって頭に少しだけペイントされたものもあります。
これらは気にしないで使用して構いません。

取り付け方向はありません。




積層セラミックコンデンサ(耐圧50V)
高周波回路やパスコンで活躍するコンデンサです。

0.1μFは104と表示されています。
1μFは105と表示されています。

取り付け方向はありません。




電解コンデンサ(耐圧50V)
耐圧は16Vもあれば充分ですが、小容量の電解コンデンサの売られている耐圧は50V以上のものが殆どでしょう。

メーカーや品種によって部品を覆っているスリーブの色が異なります。

電解コンデンサの多くは有極性で、取り付け方向があります。
新品時はリード線の長いほうが「プラス極」です。また、部品を覆っているスリーブにも極性を示しています。

取り付け時は極性に注意して下さい。
また、今回使う1μFと10μFは共に同じ大きさだと思いますから製作時は取り違いにも注意しましょう。




FCZコイル:7S144
FCZ研究所のコイルです。
ラジオ部品を扱うパーツショップで扱っていると思います。

このコイルの扱いは「小型FMワイヤレスマイク」と同じなので一度確認しておいて下さい。

コイル端子は無理に曲げないようにして下さい。
これは内部で細い線に接続されているためで、無理に曲げると内部断線する恐れがあるからです。

3端子ある1次側と、2端子ある2次側で取り付け方向がありますが、製作の項を見ていただければ一目瞭然です。

ケーシングを固定する「ツメ」の加工も「小型FMワイヤレスマイク」と同じになります。




フェライトビーズ:FB-101
簡単なコイルや、電子パーツのリード線に通して不要な高周波の侵入を防いだりするのに用いられます。
ラジオ部品を扱うパーツショップで訊ねてみて下さい。
今回は2個のフェライトビーズを使って簡単なコイルを自作します。
FB-101の材質は#43でも#61でも構いません。

6.8μH〜10μHのインダクタンスよりも、フェライトビーズによる自作コイルの方が良好な結果となります。




UEW(ポリウレタン鋼線):太さ0.32mm
UEW(ポリウレタン鋼線)とは、銅線(単芯)にポリウレタンの被覆を施したものです。
太さ0.32mmのものを使います。
長さは10cm(ハンダの訓練をしたい場合は20cm)もあれば充分です。

ただし、パーツショップで「太さ0.32ミリのウレタン銅線を10センチだけ下さい。」などと言わないほうがいいです。
せめて「太さ0.32ミリのウレタン銅線を販売できる最低の長さを下さい。」と言うほうがいいでしょう。

コイルの自作で使います。




電池:006P型9V電池
コンビニでも売られています。




電池スナップ
006P型9V電池と接続する部品です。

この電池スナップは貴方が用意するケースに付属しているかも知れません。
私はTAKACHIのSPG-135Bという電池ボックス付きプラケースを用い、このケースには電池スナップが付属されていました。




その他(ねじ・配線材料)
配線材料はアンテナリード線も含めて2メートルあれば充分です。
ねじは回路基板を固定するときに使いますのでビス、ナット、スペーサが4組あればいいでしょう。




ユニバーサル基板:ICB-288G
サンハヤトの小型ユニバーサル基板です。
基板の厚みは1.2mmと薄めです。

多く見かける1.6mm厚の基板ではFCZコイルを取り付ける際に、コイルのリード線にストレスが加わりやすくなってしまいます。




ステレオピンジャック
オーディオ信号の入力端子として用います。
購入時はステレオ用であることを確認して下さい。

貴方の都合に合わせてRCAピンジャックでもいいでしょう。




丸ピンICソケット
ICソケットを用いるのはマイクロコントローラー:PIC12F629だけでも構いません。




2連ボリューム:2連10KΩAカーブ
入力信号のレベル合わせに使い、Aカーブのものを使います。
今回採用した反転増幅回路は入力抵抗が高くできないので、ここでは10KΩのものを使って下さい。
ステレオ信号を調整しますので2連ボリュームとします。




単連ボリューム:単連10KΩBカーブ
周波数の調整で用います。ここのボリュームはBカーブのものを使います。
抵抗値は10KΩとして下さい。




ボリュームつまみ
ケースの大きさを考えて選択します。
ボリュームのシャフトに合うことを確認して購入して下さい。




スイッチ
電源スイッチとして使います。
気に入ったスイッチを用意しましょう。




ケース
ケースは製作する貴方が選択してください。素材はプラスチック、金属など問いません。
私はTAKACHIのSPG-135Bという電池ボックス付きプラケースを使ってみました。
さらに、BNCコネクタと千石電商でみつけたBNC付きロッドアンテナ(10段で最大60cm)を組み合わせてみました。

これらは、ケースも含めて完成後の様子を思い浮かべて揃えて下さい。


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