オペアンプを使ったヘッドホンアンプ...page.2/6


部品リスト

私は一部にオーディオ用の部品を使いましたが、汎用の部品でも動作に支障ありません。
配線材料までオーディオ専用パーツにこだわるとパーツ代は倍以上になってしまいます...
パーツ集めの前に「部品の概要」も参考にして下さい。

品名 規格 個数 備考 予算
オペアンプ NE5532P 2 その他デュアルタイプの
オーディオ向けオペアンプ
@\180
丸ピンICソケット 8ピン用 2 @\100
ブラケット入りLED 1 その他の色でも構わない \150
1/4w金属皮膜抵抗 22Ω 2 赤赤黒金 @\15
47Ω 4 黄紫黒金 @\15
1KΩ 2 茶黒黒茶 @\15
2.2KΩ 2 赤赤黒茶 @\15
10KΩ 2 茶黒黒赤 @\15
22KΩ 2 赤赤黒赤 @\15
27KΩ 2 赤紫黒赤 @\15
1/4w炭素皮膜抵抗 4.7KΩ 1 黄紫赤金
※LEDのブリーダ抵抗で使用
\10
フィルムコンデンサ 0.1μF 2 104 @\60〜
2.2μF 2 225 @\300〜
電解コンデンサ 470μF 耐圧25V 2 @\50〜
2連ボリューム 10KΩAカーブ 1 \150〜
ツマミ 1 ボリュームの軸に合うこと \160
トグルスイッチ 2回路入り6P 2 @\250
RCAピンジャック 2 ケースと絶縁できるもの @\150
ヘッドホンジャック ステレオ3.5mm 1 @\150
電池ボックス 乾電池4本用 2 @\150
1.5V乾電池 8 -
ユニバーサル基板 タカチ:TNF52-89 1 手持ちの基板でよい \300
ネジ類 基板の固定で使用 -
配線材料 少し -
ケース タカチ:UC10-4-14DD 1 予算で調整 \2,300




部品の概要

オペアンプ:NE5532AP
オペアンプは演算増幅器(Operational-Amplifier)の省略で、自動制御装置、医療機器、測定器、オーディオ回路など多くの箇所で活躍し、エレクトロニクス回路では欠かせないデバイスです。
オペアンプ回路はアナログ分野に属するものですが、デジタル回路でも入出力回路の一部として多く活躍しています。

オペアンプは特徴ある品種が数多くあります。
NE5532はオーディオ向けで定評があり広く使われているオペアンプです。
ただし、NE5532にこだわる必要はなく、デュアルタイプでオーディオ向けであれば何でも構いません。
ICソケットを用いてオペアンプの音の違いを楽しむのも面白いでしょう。

デュアルタイプのオペアンプとは、1個のオペアンプに同一特性の回路が2つ封入してあるものを指します。
需要のあるオペアンプでは1個のオペアンプに4つの回路が封入してあるタイプもあります。

デュアルタイプのオペアンプの内部接続は下図の様子で、どのメーカーでも同じです。
図中にVCCとVEEと記号があるのはオペアンプを動作させるための電源端子になります。電源のプラス極をVCC、電源のマイナス極をVEEに接続します。
これはオペアンプを使う上で当たり前で、回路図では省略されることがあります。
製作するときは必ず配線して下さい。




丸ポチがある端子が1ピンで、反時計方向にピン数を数えます。




丸ピンICソケット
高速演算処理を行なわせるオペアンプにICソケットは嫌われますが、今回はオーディオ帯域であり、更に自作となればICソケットを使ったほうがオペアンプを交換して音の違いを楽しむことができるでしょう。




ブラケット入りLED
 
回路に通電されていることを示すパイロットランプとして使います。

私は赤色LEDを使いました。青色LEDはレイアウトによって安物に見えてしまう場合があります。

ブリーダ抵抗が内蔵されていないタイプのブラケット入りLEDとして下さい。

ブリーダー抵抗無しで電圧を加えると昇天しますので注意して下さい。
上の写真では点灯させていますが、ちゃんとブリーダー抵抗は付けています。



1/4w金属皮膜抵抗
 
金属皮膜抵抗(キンピと呼ばれることが多い)はセラミックなどの磁器体に抵抗体としてニッケルやクロムなどの金属を付着したもので、抵抗体に炭素(カーボン)を用いた炭素皮膜抵抗と比較して温度特性や雑音特性に優れ、高精度な抵抗も製造可能です。
このため測定器など精度を求める回路や、ノイズを嫌う回路などに用いられたりします。
また高級なオーディオ装置でも使われます。

価格は炭素皮膜抵抗と比較すると当然ながら高価ですが今回は使う本数が少ないのでアンプ回路全てに金属皮膜抵抗を使ってみました。

アキシャルリードタイプの抵抗器において炭素皮膜抵抗の殆どは4本線のカラー帯で抵抗値を表現していますが、金属皮膜抵抗では高精度の抵抗値が作れるために5本線のカラー帯で抵抗値を表現している場合が殆どです。
その様子を下図に示します。





上図において「誤差」を表す第5カラー帯の位置に注意します。
図の例では

470×102=470×100=47000Ω=47KΩ となります。

第5カラー帯の誤差は「茶」で±1%品、「赤」は±2%品、「橙」は±0.05%、「緑」は±0.5%品、「青」は±0.25%品、「紫」は±0.1%になります。
パーツショップで一般に入手できるアキシャルタイプの金属皮膜抵抗では「茶」の±1%品だと思います。

ところで、当回路に金属皮膜抵抗は贅沢なパーツであり、使ったところで音質の違いは判断できないでしょう。
しかし、炭素皮膜抵抗と比べて「ローノイズな抵抗を使ってるのだ」という思いで完成を喜ぶのも楽しいものです。




1/4w炭素皮膜抵抗
ここではブラケット入りLEDのブリーダ抵抗として使います。
当回路では4.7KΩであれば、どんな発光色のLEDでも満足できる輝度になるはずです。

LEDのブリーダ抵抗まで金属皮膜抵抗を用いるのは贅沢すぎるでしょう。




フィルムコンデンサ
今回は小型な積層タイプのメタライズドフィルムコンデンサを勧めます。これならば2.2μFでも小型です。
耐圧は50V以上であれば充分です。

私はリード線に無酸素銅線を用いたオーディオ用の、ニッセイ電機メタライズドポリエステルフィルムMTFシリーズを使ってみました。
(配線材料は普通のものを使ったので無意味...)

私が感じるところで、カップリングコンデンサ等に積層セラミックコンデンサを使った音質は最悪です。




電解コンデンサ
オーディオ回路で、どのような回路の箇所においても電解コンデンサが与える音質の影響は大きいものです。
このことは私自身コンデンサメーカーの開発に勤めていたので判っているつもりです。
入社当時はヒアリングルームでこんなにも音が違うのかと衝撃を受けました。

オーディオ用電解コンデンサと汎用電解コンデンサの価格に大きな差があるように、音質にも大きな差があると思っていいでしょう。
電解コンデンサは「音創り」ができる部品の一つです。

ただし、同じ容量/耐圧の電解コンデンサであれば回路動作は同じなので予算に合わせて、汎用品かオーディオ用かを選択して下さい。
後にオーディオ用に交換してみるのも楽しいでしょう。

私はニチコンのオーディオ用小型アルミ電解ミューズKZシリーズを使ってみました。
黒に金文字のスリーブがカッコイイ!




2連ボリューム
どんな機器に接続しても問題ないと考え、10KΩのボリュームを使いました。

音量調整として使いますので必ず「Aカーブ」のボリュームを使います。「Bカーブ」では音量調整がしにくくなります(小音量の調整が困難)。

安価な2連ボリュームですと小音量時の左右のレベル差(ギャングエラー)が目立つ場合があります。
ただし、ギャングエラーは完全になくす事は困難で、高価なボリュームでも多少のギャングエラーはあるものです。

私は写真のような一般的なものを使いました。




ツマミ
完成の様子を思い浮かべて選んで下さい。
当然ながらボリュームの軸に合うツマミです。




トグルスイッチ
写真のような形態で、端子が6つある普通のトグルスイッチを使います。

レバーが元の位置に戻る「ハネカエリ」タイプや、レバーが中間で止められる「中立」タイプがありますが、これらは選ばないこと。




RCAピンジャック
シャーシと絶縁できるタイプを使います。

Lチャネルに「白」、Rチャネルに「赤」を選ぶと使い勝手がいいでしょう。




ヘッドホンジャック
間違ってモノラル用を購入しないこと。

参考としてステレオプラグの様子を下図に示します。






電池ボックス・乾電池
電源は正電源と負電源を使う2電源方式としました。

約±4V〜±15Vの範囲で正常動作しますが、乾電池の消耗を考慮すると±6V以上で稼動したいところです。
今回は1.5ボルト乾電池が4本の組を2つ用意して、±6Vで稼動してみましょう。

乾電池に単三電池を使うか、単四電池を使うかは、用意するケースの大きさで判断して下さい。
また、電池ボックスにも様々な形があるのでパーツショップで悩んで下さい。

私は単四電池で製作しました。電池ボックスは写真に示すようなタイプとしました。


また、約±4V〜±15Vの範囲で正常動作しますので、1.5ボルト乾電池6本×2(±9V)や、1.5ボルト乾電池8本×2(±12V)、及び1.5ボルト乾電池10本×2(±15V)としてもよいです。四角い006P9V電池2個でも構いません。
この場合のパイロットランプとして用いるブラケット入りLEDのブリーダ抵抗(4.7KΩ)は変更しなくとも大丈夫です。

尚、乾電池に初期電圧が1.7Vあるオキシライド乾電池を使うのは良い選択です。

※余裕があれば1.5ボルト乾電池6本×2(±9V)がお勧めです。




ユニバーサル基板
回路としては少し大きめなユニバーサル基板で製作しました。
タカチのTNF52-89を使いました。大きさは52mm×89mmです。
手持ちのユニバーサル基板があれば活用して下さい。

尚、タカチのTNF52-89は両面スルーホールですが、片面のもので構いません。
ICを使う工作が初めての方は両面スルーホールのユニバーサル基板は避けた方がいいでしょう。




ネジ類・配線材料
ネジ(ビス、ナット、スペーサ)は回路基板をシャーシに固定する際に使います。

配線材料は電子工作で用いるようなもので充分です。
ただし、同一のケースにAC電源回路(整流回路/レギュレーター回路)を内蔵したり、大きめなケースで製作する場合は入力ラインにシールド線を用いるべきでしょう。




ケース
タカチ:UC10-4-14DDを使ってみました。厚みと重みがあって好きです。
少し高価なケースなので同じ物にする必要はございません。


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