NaPiOnでインテリジェントLED...page.1/3


はじめに

秋月電子鰍ノインテリジェントLEDライトという商品があります(現時点)。
人が近づくと一定時間LEDが点灯するというものです。
この商品はとても便利なものですが電池の消耗とともに感度が低下してLEDも暗く、私個人として不満がありました。
そこで、電池の交換時期まで「LEDは明るく」、「センサ感度は高く」して更にインテリジェントな動作を狙ってみました。
秋月電子鰍フインテリジェントLEDライトは専用ICを用いてるようですが、入手が容易な汎用ICを組み合わせて作ってみました。



概要

パナソニックの焦電センサー:NaPiOn(ナピオン)とCDSを使って周囲が暗い時のみLED(Light Emtting Diode:光を放つダイオード:発光ダイオード)をタイマー点灯させる回路です。
消費電流を抑えるためにC-MOSオペアンプとC-MOSロジックICを用いました。
LED点灯には電池交換時期まで明るく点灯するようにチャージポンプICで昇圧させました。

製作にあたってチャージポンプIC:MCP1252-33X50のハンダ付けが難関だけど電子工作は堪能できるよ。



回路図

回路修正(追加修正)があります! サポートページを見て2個のパーツを別途用意して実施して下さい。





回路の説明

人体センサーにパナソニックのNaPiOn(ナピオン)を用いました。
NaPiOnはこれまでの焦電センサーにセンサーアンプとウィンドコンパレーター(デジタル出力タイプ)を内蔵したもので電源を与えるだけで簡単に扱えます。
特にセンサーアンプには数100倍もの利得に及ぶためNaPiOnのように内蔵されていればノイズに対してとても有効です。
また、焦電センサーは人体の「動き」を捕らえ易くするため特殊な光学レンズと組み合せて用いられます。
NaPiOnについてもレンズの形状で「標準検出タイプ」「スポット検出タイプ」「微動検出タイプ」「10メートル検出タイプ」があります。
今回はデジタル出力で「標準検出タイプ」のAMN31111を使いました。

ところで焦電センサーは赤外線の「動き」を捕らえるもので、センサーの前にいてもジッとして動かなければ未検出です!

NaPiOn:AMN3111は人体の動きを検出するとVddレベルを出力し、未検出時のNaPiOnの出力はハイインピーダンス(高抵抗)の状態になっています。

ハイインピーダンスをデジタル回路に加えると誤動作の原因になるので、プルダウン抵抗:R1は必須になります。




上図のようにNaPiOnが人体の動きを検出している時のデジタル信号はランダムです。
このためモノステーブル・マルチバイブレータ:74HC123(IC1-2)で、約50ミリ秒の短いパルス波形にしました。
これはNaPiOnが人体を検出していることをモニターする発光ダイオード(回路図のLED1)を設けたかったからです。
このモニターLEDは周囲の明るさに関係なくNaPiOnが人体を検出すると「ピカッピカッ・・・ピカッ・・・」と点滅するので防犯に役立つでしょう?
50ミリ秒と短い時間ですが「ピカッ」と目立ちます。更に短時間の点滅ですから電池の消耗も気になりません。

このパルス信号は、LEDを点滅させるだけでなく、CDSで周囲の明るさによって次段のモノステーブル・マルチバイブレータ:74HC123(IC1-1)へのトリガ信号にも使います。

IC1-2の出力Q(5ピン)は、モニターLEDを光らせると同時に、VR1とR4の分圧をオペアンプの+入力に与えます。
周囲の明るさを検出するCDSはR7との分圧をオペアンプの−入力に与えます。−入力端子は周囲が明るいと電位が高く、周囲が暗いと電位は低くなります。
そこでIC1-2の出力Q(5ピン)から出るパルス信号(Hレベルのパルス)は〔(+入力)>(−入力)〕の条件でオペアンプから出力されることになります。
R4とR7は同じ抵抗値にしているのでVR1の値は薄暗いときのCDSの抵抗値と同等の抵抗となるように調整することになりましょう。
R5は真っ暗な状態でも−入力端子に僅かな電位を生成させるためです。これは径の大きなCDSを用いたとき真っ暗な状態では無限大に近い抵抗値となり〔(+入力)=(−入力)〕で不安定となることを確認したからです。
R6はCDSが万一、天落した場合(誰かにCSDをねじられる?)のダイオード:D1とIC1-1の保護として念の為に接続しました。このダイオードの働きは後述します。

周囲が暗くNaPiOnが人体を検出してIC1-2の出力Q(5ピン)から出るパルス信号は〔(+入力)>(−入力)〕の条件でオペアンプから出力し、モノステーブル・マルチバイブレータ:74HC123(IC1-1)をトリガさせ、R8とC3の時定数の時間だけ出力Q(13ピン)がHレベルになります。この時間が3つのLEDが点灯する時間になります。

74HC123はリトリガ可能なモノステーブルマルチバイブレーターですから時定数の時間内にトリガ入力があると、その時点から再度時定数だけQ出力がHレベルになります。即ち、LEDがタイマー点灯していてもNaPiOnの周囲で人が動いてパルスが出ている間はリトリガが掛かりLEDは点灯し続けます。

ここで疑問が出てきます。
LEDで周囲を照らしていればCDSは「明るい」と判断してIC1-2の出力Q(5ピン)から出るパルス信号は〔(+入力)<(−入力)〕の条件でIC1-1にリトリガは伝わらないのでは?ということです。
そこでオペアンプの−入力をダイオード:Dを介してIC1-1の反転出力4ピンに接続してLED点灯時はLレベルにしています。
これによりLED点灯時のみオペアンプの−入力の電位はダイオード(シリコンダイオード)のPN接合ON電位の約0.6Vになり、周囲が明るくても(CDSの抵抗変化は無視される)IC1-2の出力Q(5ピン)から出るパルス信号は〔(+入力)>(−入力)〕が確定し、リトリガを掛けることができます。

LEDの点灯時間はおおよそR8とC3の積で求まり今回は約12秒としました。
これまでの説明の通り、NaPiOnが人体を検出して12秒間だけLEDが点灯するということではありません。
NaPiOnが最後に人体を検出してから12秒ということです。
即ち、製作物に人が近づいてNaPiOnが人体を検出するとLEDが点灯して、人が通過している間はリトリガを掛けながらLEDは点灯し続け、通り過ぎてNaPiOnの検出範囲を超えてから12秒間点灯します。

ところで、C-MOS:74HC123のトリガ入力(A・B)はシュミット入力になっているから、CDSと抵抗の分圧を74HC123に直接入力すればオペアンプは省けるのでは?と思われるかも知れません。
しかしシュミット入力端子にH/Lのロジックレベルでない中間の電圧を加えると消費電流は100μAオーダーにまで上昇します。
CDSと抵抗の分圧がH/Lのロジックレベルになることは滅多にありませんから、74HC123だけで常に100μAオーダーの電流が流れることになりましょう。
回路は増えてしまいますがC-MOSオペアンプを介してH/Lのロジックレベルを74HC123に与えたほうが消費電流で有利です。

白色LEDの点灯回路にはいろいろなデバイスで実験してみましたが、ノイズ、インターフェース、消費電流、部品の入手性からチャージポンプIC:MCP1252-33X50が最適と判断しました。
専用のLEDドライバーICは便利な品種がありますが入手性に乏しいでしょう。
コンデンサの充放電で昇圧するチャージポンプIC:MCP1252-33X50は1.8V〜5.5Vの入力電圧で3.3V又は5Vを生成するICで、今回は5Vの出力で使います。
5V出力で用いる場合は2.7V〜5.5Vの入力電圧を要しますが、入力電圧が2.7V以下になってもシャットダウンすることなく発振して約1.7Vの入力電圧でも白色LED(Vf=3.0v〜3.6v)を充分に明るく点灯します!
LEDのブリーダ抵抗は150Ωとして9mA〜13mA(3個なので合計27mA〜39mA)で点灯させました。MCP1252-33X50の出力電流は120mA(5V出力時)ですから余裕でドライブできます。

今回用いたデバイスの電源電圧範囲と待機時(NaPiOnが人体を未検出の時)の消費電流は以下の通りです。

電源電圧範囲 消費電流 備考
NaPiOn:AMN31111 3V〜6V 平均170μA 電源2Vを下回っても動いた。
C-MOSオペアンプ:MJU7094D 1V〜5.5V 標準15μA
C-MOSロジック:74HC123P 2V〜6V 最大4μA 電源2Vを下回っても動いた。
CDS,R2,R3に流れる電流 約9.5μA(電源4.5V時) CDS=0Ωと考えた場合
チャージポンプIC:MCP1252-33X50 2.7V〜5.5V(5V出力選択時) 標準0.1μA(SHDN=Lowレベル) 1.7V入力でも白色LEDを明るく点灯させた。


以上の通り、電源電圧は1.5V乾電池3本の4.5Vが最適でしょう。
電池の交換時期はNaPiOnの動作下限である3Vと考えられますが数個のNaPiOnを使って実験確認したところ電源2Vでも実用になったことを報告しておきます。

白色LEDがタイマー点灯する通常動作していても、NaPiOnが人体を検出する様子をモニターするLEDの点滅が暗くて弱々しくなったら「そろそろ電池交換時期だな」と判断して下さい。

待機時の消費電流は表中を合計すると約199μAになりますが実際は電源電圧4.5Vで140μA前後、電源電圧3Vで130μA前後になります。
数個のNaPiOnとNJU7094D、74HC123は日立と東芝を用意して確かめましたが特別電流が多く流れることはなかったことを報告しておきます。

回路は微弱なパルス信号を扱いますのでパスコンにはノイズ吸収に優れた積層セラミックコンデンサを用いるようにして下さい。
このパスコンを疎かにするとノイズや電源電圧変動によって、LEDが点灯しっぱなしになったり、リセットが掛かり直ぐに消灯したり誤動作します。


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