白色LEDを使った就寝用常夜灯...page.1/3
はじめに...
白色LEDは美しい光りを放ちます。
しかし、美しい光もずっと点灯していると慣れてしまい、美しく感じなくなります。
美しいものは時々見るから美しいのです。
ここでは、白色LEDをときどき発光さる、生活でちょっと便利な回路を紹介いたします。
概要
照明機器に付属の常夜灯まで消さないと落ち着いて眠れない方はいるでしょう。
しかし、就寝前に照明を消すと、通常は急に真っ暗になります(遅延消灯機能付きの照明機器は除く)。
このとき、目が慣れるまで真っ暗になってしまい、寝床に行こうとするまで手探り状態ではないでしょうか?
また布団の位置を確認したり、火の元その他を一瞬だけ再確認したいこともあるでしょう?
このように急に暗くなったときだけ反応させて一定時間だけ白色LEDを点灯させる回路です。
徐々に暗くなる状態では反応させないように工夫しています。
これらはCDS、微分回路、単安定マルチバイブレーター回路で構成します。
CDSは光の量で抵抗値が変化する電子部品です。
回路図
Tr1 | 2SC1815-Y | R4 | 1MΩ | C1 | 0.47μF | ||
Tr2 | 2SC1815-Y | R5 | 2.2KΩ | C2 | 100μF | ||
Tr3 | 2SA1015-Y(GR) | R6 | 10KΩ | LED | 白色LED | ||
R1 | 270KΩ | R7 | 330Ω | BATT | 6ボルト | ||
R2 | 270KΩ | R8 | 330Ω | ||||
R3 | 100KΩ | R9 | 330Ω |
回路の説明
CDSとR1、C1により微分回路を構成しています。
周囲が明るいときはCDSの抵抗が低いのでR1の電位は高くなっています。
一方、単安定マルチバイブレーターを構成している待機時のTr1のベース電位は約0.6Vになっています。
この状態はR1側をプラスにしてC1に電荷が蓄積されます。
そこで、周囲が急激に暗くなるとC1の電荷はTr1のベースに逆バイアスを掛けるようになります。
これがトリガーとなり、単安定マルチバイブレーター回路が一定時間だけ反転します。
この時間はC2とR4でほぼ決定されます。ここで紹介した回路定数では約1分間(実稼動では部品の誤差で1分〜2分)です。
ゆっくりと暗くなる場合はR1の電位が徐々に下がるようになります。
この場合はC1の電荷はR1とR4を介して少しづつ放電されTr1のベース電位は変化しにくく、トリガーとなりません。
急に暗くなった時だけトリガーが掛かるように決定しているのはC1とR1ですが、ここの部品定数は私がいろいろと試作して決定した値です。
当定数で満足できる動作となる筈ですが不満があればカットアンドトライして下さい。
R1を高くすると感度が鈍くなり、低くすると感度が上がります。また、C1の容量を下げると感度が鈍くなり、容量を上げると感度が上がります。
尚、CDSの応答速度は気にする必要はございませんが、暗抵抗が1MΩ程度のCDSでないとうまく動作しません。
私は試作において数種類のCDSで確認しました。どのようなCDSが満足する動作になったかは「部品の概要」で記述します。
このCDSについては入手しやすいものですから心配しないで下さい。
単安定マルチバイブレーター回路はトランジスタ2個だけで構成させていますがON/OFFは意外にシャープです。
周りが急に暗くなると「パッ」とLEDが点灯し、時間が経つと「スーッ」と消えます。
尚、単安定マルチバイブレーター回路、双安定マルチバイブレーター回路、非安定マルチバイブレーター回路についてはトランジスターの動作が理解できていれば説明は簡単ですが、ここでは省かせていただきます。これらは多くの書籍で動作説明されているので自分にあった書籍を見つけてご理解下さい。
LEDを交互に点滅させる回路として非安定マルチバイブレーター回路が多く用いられますね。
ところで、LEDの光りがCDSに入り込んで、一定時間後にLEDが消灯し、再度トリガーが掛かってしまい、ループ状態になってしまうのではないか、と思いませんか?
C2の容量が極端に小さい場合は確かにループ状態に陥ります。しかし、今回のC2の定数ではTr1とTr2の切り替えが甘くなるのでループすることはありません。
このことは実験を何度も繰り返して確認済みです。
当回路は安全面と作り易さから、電池で稼動させたいところです。
そのため待機時の消費電流を抑えたく、単安定マルチバイブレーター回路で用いる抵抗は比較的高い抵抗値としました。
これにより待機時は約80μAと少ない消費電流になりました。
このためか、単安定マルチバイブレーターだけでLEDをコントロールさせるのは困難となります(LED1個程度は問題ない)。
そこで、PNPトランジスタ:Tr3を介してLEDをコントロールしました。LED1個では寂しいので3個用いました。
ここでも4〜5個程度のLEDのコントロールが限界だと思って下さい。なぜならば前段の単安定マルチバイブレーターの電流が低いだめで、低温時でhfeが低下し、Tr3をオーバードライブできるのか疑問が残るからです。
リレーなどを負荷にする時はTr3をダーリントン接続として下さい。
当回路はLEDの発光が確認できる3V前後から10V程度まで動作しますが、ここでは単3電池4本の6Vで稼動させることとしました。
待機時の電流が小さいことと、動作時間は短いので電池は長持ち致します。