簡単自作スピーカー(2nd)...page.1/1


はじめに...

完成されたエンクロージャーにスピーカーユニットを取り付けるだけの簡単なスピーカーシステムの2作目です。

今回は以下の項目を考えて製作しました。

(1)完成された小型エンクロージャーを使って簡単に仕上げる。
(2)自作ICアンプに多い4Ω負荷に合わせるため、カーオーディオ用スピーカーユニットを使う。
(3)サウンドに飽きたらいつでもユニット交換を楽しめるようにする。




私が購入した部品の全て



コイズミ無線オリジナル:バスレフエンクロージャー:ヒカリ工芸No.103 2個1ペア コイズミ無線で購入
10cmカスタムフィットスピーカー 2個1ペア カー用品店、楽天市場など
スピーカーターミナル:FOSTEX:T-150B 2個 コイズミ無線で購入
スピーカーケーブル:FOSTEX:SFC80 1メートルで充分 コイズミ無線で購入
φ5mmボルト&つめ付ナット 4本組 コイズミ無線で購入
φ5mm平ワッシャー 4個 DIYショップ
隙間テープ スポンジタイプ DIYショップ

10cmカスタムフィットスピーカーと隙間テープ以外は秋葉原のコイズミ無線で購入。
10cmカスタムフィットスピーカーは私は楽天市場で購入しましたが、オートバックス等のカー用品店でも販売しています。
ボルト・つめ付きナットはDIYショップでも売られています。



部品の概要

■エンクロージャー
バスレフタイプのエンクロージャーで、ヒカリ工芸:No.103/95φという型番(コイズミ無線オリジナル)を使ってみました。

寸法は高さ270mm×幅155mm×奥行き210mm、内容積5リットルのバスレフエンクロージャーで、バッフル(スピーカーユニットを取り付ける前面の板のこと)にユニットを取り付ける95mmの穴開け加工が施されています。
内部の吸音材も少しながら添付されており、サランネットまで付いていて親切です。







裏面も黒色に塗装されている。

艶消し黒のバッフル板は、手の脂が付くとテカリますがそのテカリはなかなか消えません!
しかし、がっかりすることはありません。実際にスピーカーユニットを取り付けると気にならなくなります。
また普段はサランネットを取り付けるので隠せます。
部分的にテカリが残っても、手作りなんだと思えばいいんです!





裏面のスピーカー端子の穴の様子。寸法は私が定規で測定した値です。
既に紹介している簡単自作スピーカーシステムで用いたコイズミ無線オリジナルのヒカリ工芸:No5と同じでした。




■10cmカスタムフィットスピーカー
カーステレオの10cmカスタムフィットスピーカー(トレードインスピーカーとも呼ばれる)を用います。
カスタムフィットスピーカーとは自動車の標準スピーカーを加工せずに交換できるスピーカーユニットのことです。
10cmユニットはダッシュボードや一部ドアスピーカーに多く使われ、カーオーディオメーカーから販売されている10cmカスタムフィットスピーカーの寸法はどれも同一になっています。これは多くの国内自動車メーカーで取り付け寸法が同一のためです。

すなわち、私はアルパインのDLS-108Xを使ってみましたが、その他の10cmカスタムフィットスピーカーならばどれを使ってもいいということです。
但し、2点ビス留めで固定できるもの。
また、どのカーオーディオメーカーの10cmカスタムフィットスピーカーも殆どが2ウェイや3ウェイのコアキシャルフルレンジユニットになっているのでワイドレンジな音楽再生が望めるでしょう。
スピーカーユニットで「コアキシャル」とは、ウーハーとツイーターの専用ユニットを1つの筐体にまとめたユニットのことをいいます。





ところで、下の写真('11/12現在)のように振動板にオーディオメーカーのブランド名が表示されています。
そこで例えば現在のサウンドに飽きて異なるブランドのスピーカーに交換した場合、ブランド名の表示が90度回転してしまう場合があります。



10cmのカスタムフィットスピーカーであれば殆どのものが今回のエンクロージャー(95mmの穴加工済み)に合うと思われますが、念のため下図の部分の寸法になっているか調べておいて下さい。






■スピーカーターミナル
エンクロージャーの背面に開いているスピーカーターミナルの穴の形状は、既に紹介している簡単自作スピーカーシステムで用いたコイズミ無線オリジナルのヒカリ工芸:No5と同じなので、スピーカーターミナルも前回同様にフォステクスのスピーカーターミナル:T150Bを用いました。



取り付けネジとワッシャーが付属されています。




内部配線をハンダするラグ端子が、上図(左)のように外側に曲がっている場合は、上図(右)のように曲げておかないと、エンクロージャーの穴にちゃんと入りません。




■スピーカーケーブル
カスタムフィットスピーカーの多くはコネクタ付きのスピーカーケーブルが付属されています。
今回私が使ったアルパインのDLS-108Xにも付属されています。




しかし、ケーブルは今回の製作物には物足らない長さです。
このために別途フォステクスのスピーカーケーブル:SFC80を用意しました。




同様に付属のスピーカーケーブルが短い場合は別途スピーカーケーブルを継ぎ足して延長して下さい。

カスタムフィットスピーカー付属のスピーカーケーブルはファストン端子になっていて、スピーカーユニットとの接続が容易ですから是非利用します。




■φ5mmボルト・レンチ(ボルト、つめ付ナット)
10cmカスタムフィットスピーカーの2個の取り付け穴はどのメーカーでも一緒なので、気が向いたらいつでも交換したいでしょう。
このときスピーカーユニットは「木ネジ」よりも「ボルトとつめ付ナット」を利用して固定したほうがエンクロージャーを永く使えます。

私はコイズミ無線で販売している「ボルト・レンチ:5×35」を使いました。
六角ボルトの受け側は爪付ナットになっていて、ボルトを締め付けるとトゲが板に食込んで固定されます。
これらはDIYショップでもネジのコーナーにあります。



コイズミ無線では8本組みを1パックにして販売されています。六角レンチも付属されています。








5ミリのつめ付ナットの穴の外寸を実測したところ6.6mmありました。
このため約6.7mm〜7mmの下穴を開けることになりましょう。
私の近所にあるDIYショップにも同様のつめ付ナットが売られていて、下穴は7mmと明記されていました。




■φ5mm平ワッシャー
10cmカスタムフィットスピーカーの2個の取り付け穴は大きく、用意した5mmのボルトの形状によっては満足にスピーカーを固定できない場合があります。
なのでボルトの太さに合わせた5mmの平ワッシャーは用意しておいたほうがいいです。




■すきまテープ
カスタムフィットスピーカーに付属されているスポンジは分厚かったので別途DIYショップで用意しました。
細く切って使います。









私が行なった製作

1.ネジ穴の位置を決めて、キリで浅く削る

バッフル板(前面の板)は下図の黄色部分に2箇所の穴をあけることになりましょう。
背面はスピーカーターミナルを置いて現物で穴あけ位置を決めます。




 

穴を開けるべき中心をキリで浅く掘る。
スピーカーターミナルは現物合わせでキリで浅く掘りました。




2.バッフル板につめ付ナットの下穴をあける

 

約6.7mm〜7mmのドリル刃でつめ付ナットの下穴をあける。




3.つめ付ナットを取り付ける



下穴の隙間から空気が漏れないようにつめ付ナットの周囲にボンドをタップリ塗布しておきます。




ボンドを塗布したつめ付ナットを落とさないように下穴の裏側に...




表側からボルトを回し、つめ付ナットの爪が完全に刺さるまで回し込む(きつくなってボルトが回らなくなるので判る)。
この時、バッフル板とボルトの間には、写真のように面積が大きなナット等を介しておくとバッフル板に凹みが生じにくくなります。

内部につめ付ナットにタップリ付けたボンドが落ちたり垂れたりしますが気にすることはありません。




バッフル板に締め付け跡が残らないようにボルトを外してボンドが乾くまで放置します。




4.隙間テープを貼り付ける

 

細く切ったすきまテープをエンクロージャー側に貼り付けました。
穴の縁スレスレに貼り付けます。




5.接続コードを作る





電子工作と言えるのはこれだけです。




5.配線コードを通す

 

エンクロージャー内部の白い吸音材には親切にコードを通す穴が開いているので、ちゃんと通します。

スピーカーターミナルを固定するネジの箇所は予めキリで浅く掘ってあるので作業し易いでしょう。







6.スピーカーユニットを取り付ける

 

ファストン端子を接続して、そ〜っとスピーカーユニットを嵌めて位置を確認後、ボルトにより固定します。このとき平ワッシャーをボルトに通しておくことをお奨めします。
スピーカーユニットのフレームとバッフル板の間からすきまテープがはみ出ると思いますが手作りだと考えればいいでしょう。







感想...

10cmのフルレンジユニットでホームオーディオ用ユニットとなると殆どはシングルコーンですが、カーオーディオ用は10cmユニットでも2way(又は3way)のコアキシャルとなっており出てくるサウンドはワイドレンジです。
またコアキシャルユニットはシングルコーンユニットと比較して混変調歪が少ないので、コーン紙が大きく振幅しても音崩れしにくく、大音量や低音をブーストしても音楽を楽しめます。
私が今回用いたアルパインのDLS-108Xは2wayコアキシャルでツイーター部はホーンになっていますが、耳に突き刺さるような再生は少なく、いい感じです。

小型スピーカーシステムは設置場所によって低域再生は大きく変化するので、部屋のコーナーに設置すれば迫力ある音楽を楽しめると思います。

カースピーカーユニットは4Ωですから自作ICアンプ(4Ω仕様)のパワーをフルに活かせるでしょう。



前回のヒカリ工芸:No5を使った時もそうでしたが、バスレフポートの穴から意外に高いレベルの中音域が漏れていて、これが原因でボーカルがボヤけたサウンドになるようです。

私はバスレフポートを2/3ほどスポンジで塞いでボーカルが聴き易くなりました。
低域再生と中音域のバランスを聴き込んで調整してみて下さい。
このような調整がこのスピーカーエンクロージャーには自作の楽しみとして課題が残されていると感じました。




写真はスピーカーユニットとバッフル板の間からすきまテープが見えていません。
これはすきまテープを貼り直したからです。




サランネットを取り付けた写真。


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