高周波増幅付トランジスタ検波ラジオ...page.1/8


はじめに...

トランジスタを2個使ったラジオです。
入手しずらいゲルマニウムダイオードを使用せず「トランジスタ検波」としました。
既にレフレックスラジオをご紹介しましたが感度、コスト面、パーツ入手、成功率で当ラジオが優れていると思います。
高周波増幅(電波の増幅)回路付きなので長いアンテナを張らずにバーアンテナコイルだけでも充分な感度が得られます。



概要

高周波増幅回路(電波の増幅)で1石、検波(電波を音声に変換)で1石の計2石(2個のトランジスタ)のトランジスタラジオです。
高周波増幅にはFET(電界効果トランジスタ:フィールド・エフェクト・トランジスタの略でFET)を使いました。
検波にはトランジスタのベースエミッタ間のダイオードを利用した「トランジスタ検波」としました。
高周波増幅回路は受信機の性能(入力感度やS/N比)を左右する重要な回路でフロントエンドとも呼ばれます。
トランジスタ検波は検波と同時に音声も増幅してくれるためクリスタルイヤホーンで聴くには充分な音量が得られます。
電源は単3電池1本で稼動させ、回路電流は約0.7mAと僅かであり電池は非常に長持ちしますので電源スイッチは設けません。



ブロック図




回路図




回路の説明

高周波増幅(電波の増幅)にはFETを使いました。FETを用いることで高抵抗・低容量の入力となり、同調回路をそのまま接続できます。
ここに一般のトランジスタとした場合は2次巻線を持ったバーアンテナコイルを用いてインピーダンスの整合を図らなければなりませんし、結線が多くなります。

FETのソース抵抗:2.2KΩがかなり大きな値ですが充分な感度が得られます。この抵抗を低くすると感度が上がりすぎて発振が起こるばかりでなくドレイン電流が多くなり電池の消耗が早まります。反対に電波が良く受かる地域では2.2KΩでも発振する場合がありますので、その場合は3.3KΩ又は4.7KΩに変更してみて下さい。
ドレインに接続したコイル:4mH(ミリヘンリー)は高周波信号を効率良く取り出すためです。
コイルは高い周波数の信号を通しにくい性質をもった部品なので、ドレインから増幅された高周波信号は次の検波部に効率良く伝達されます。

ドレインから出た高周波信号(電波の信号)はコンデンサ:0.1μF(マイクロファラッド)を通り、次の検波部に受け渡します。
ここのコンデンサの事をカップリングコンデンサといい、前後の回路の直流的なバランスを崩さないで信号を伝達させるために接続するコンデンサです。コンデンサは直流を通さず交流信号(オーディオ信号や高周波信号など)を通し易い部品です。

検波(高周波信号を音声信号に変換すること)はトランジスタ検波です。
トランジスタのベースエミッタ間はダイオードとなっており、これを利用したものです。
C級増幅やスイッチング動作を除く、一般の増幅回路におけるトランジスタはベースエミッタ間にある程度の電流(バイアス)を流しますがトランジスタ検波はこのバイアスを極力少なくすることで実現できます。
当回路では330KΩとしましたが220KΩ〜1MΩの範囲で検波されることを実験で確かめました。100KΩ以下では検波されませんでした。音が最も明瞭に聞こえると実験で判断した結果が330KΩです。同様にコレクタの負荷抵抗は2.2KΩとしました。

高周波増幅に使うFETは2SK241Y又は2SK241GR、2SK439Eの3つが選択できます。入手可能で安価なFETが選べます。
ただし、2SK241と2SK439はリード線の並びが異なりますので取り付け時は注意する必要があります。
検波に使うトランジスタは2SC1815Yとしました。2SC945,2SC1906でも問題なく使えたことを記しておきますが、2SC1815Yは多く出回っているために入手は容易です。


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