2石短波ラジオ...page.1/5


はじめに...

短波帯はどのような放送内容か聞いたことがない方を対象に紹介したいと思います。
紹介する短波ラジオはおおよそ4MHz〜13MHzのAM波(amplitude_modulation:振幅変調)を聞くことができて、夜になりますと電離層の作用で海外放送が聞こえてきます。
簡単に製作できるよう最初から再生検波回路で考えていました。興味のある方は作ってみて下さい。



概要

再生検波部に電界効果トランジスタ(FET)である2SK439、低周波増幅部に一般のトランジスタ2SC1815を使いました。
使用した部品は全て入手しやすく特別なものはありません。
音声はクリスタルイヤホンとしており、クリスタルイヤホンは基板に直接接続しないで小型端子を介して接続することとしました。このことで2つのクリスタルイヤホンを並列に接続して2人で聞いたり、別途スピーカーアンプを接続してスピーカーで聞くことが可能です。
同調は再生部の帰還量の調整とバリコンの双方を動かしながら最高感度にして聞くというマニアックな聞き方になります。



回路図

回路の説明

再生検波回路は同調回路を発振寸前の状態にすると、同調回路の持つ特性を向上でき、高感度とさせることができるということを利用した方法です。しかし、発振寸前の一定した状態を保つのはなかなか困難なことです。受信周波数をある程度限定すれば半固定抵抗にもできますが、ここでは4MHz〜13MHzと受信周波数帯域が広く一定して発振寸前の状態を保つことはできません。従って、半固定抵抗ではなく一般のボリュームを使って受信する周波数により手動で発振寸前の状態(最高感度)に調整して頂く方法としています。

発振させるには出力を入力に戻して行ないますが、回路上では47pFが相当します。ボリューム:1KΩで入力に戻す量を調整します。このボリュームで最高感度となるように自分で調整することになります。

再生検波回路はもともとAM波以外にFMやSSBも検波されますがドレインの出力にゲルマニウムダイオードを接続して主にAM波の放送局をより聞きやすくしています。ここにダイオードを接続した理由は実験による結果からです。ダイオードの接続個所を変更するとFMもSSBも検波されるようになりますが同調が極めて困難となります。

ダイオードから取り出した音声信号はカップリングコンデンサ:0.1μFを通りトランジスタ:2SC1815のベースに入り音声増幅します。コレクタから増幅された音声信号を取り出し0.1μFを通りクリスタルイヤホンを鳴らします。トランジスタのベースとマイナスラインにあるコンデンサ:0.01μFは耳障りな高域信号をカットするフィルターの役目をします。耳障りと思うレベルは個人差があるので、自分の耳で確かめて0.01μFを変更して下さい。接続しない〜0.022μFの間で変更してみて下さい。出力にも0.1μFを通した理由は外部にスピーカーアンプを接続した場合のためのカップリングコンデンサです。
この手の回路で私はカップリングコンデンサに0.1μFを多用しています。


発振...
発振とは出力として増幅された信号を再度入力に戻すことで無限に続くループを形成して一定した信号が生成される状態です。例えば、カラオケなどでマイクをスピーカーに向けると「ピィー」とか「ギャー」となることをハウリングと言いますが、これが発振の現象です。
出力を入力に戻す方法は正帰還(ポジティブ・フィード・バック)と負帰還(ネガティブ・フィード・バック)があり、発振状態となるのは正帰還です。負帰還はその増幅器の利得を抑える作用となります。
「発振現象」やトランジスタのバイアス回路についてはインターネットよりも専門の本で勉強することをお勧めします。


TOPNEXT